GISによる台帳管理とは?―インフラをデジタル管理する―(後編)

 

上水道台帳システムの便利機能

前回のコラムでは、自治体にある水道管や水道メーターなどの施設をGISで管理する業務の過程についてお伝えしましたが、今回はこうして生まれた上水道台帳システムが実際どのように活用できるのか、いくつかの便利な機能をご紹介したいと思います。

地図上で水道施設の詳細情報が確認できる

まずは基本的な機能となりますが、地図を動かしたり拡大したり、住所や世帯主の名前で検索して、周辺の水道施設の情報を見ることができます。クリックすると工事が完成した年度、施工会社、水道管であれば管の口径、種類等が表示されます。

さらに、ハイパーリンクを開くと、工事施工当時の紙図面を見ることもできます(登録されている場合)。

水道台帳地図(イメージ)

クリックすると水道管の情報が表示される(イメージ)

工事年度を指定して色分けする

工事が行われた期間を指定して水道施設を色分けして表示します。例えば昭和63年度以前に施工された水道管を特定の色で表示するようにすると、平成になる前に工事が行われた古い管が可視化されます。

こういった管は老朽化が懸念されるため、入れ替えなどの対策を立てることが容易になります。

工事年度で色分けして表示(イメージ)

消火栓で水が届く範囲がわかる

GIS上には火災の際に消火に使われる屋外消火栓の位置も登録されています。個々の消火栓から水が届く範囲を円で表示することもできるため、防災計画の立案や見直しに活用できます。

消火栓の位置(イメージ)

水が届く範囲(イメージ)

水道管が破損したら影響の出る範囲がわかる

万が一水道管に破損が生じたり、工事を行ったりする際は、周囲の弁を閉じ、影響を最小限にとどめる必要があります。

シミュレーション機能を使って任意の位置で水道管を分断すると、このとき閉めるべき弁と、それによって水道が使用できなくなる建物が可視化されます。地震などにより被害があった場合、断水・復旧の計画を立てるときにも役立ちます。

×の箇所で水道管が破損すると、黄色に表示された建物で水道が使えなくなる

施設を写真で確認できる

GIS上にマークが表示されている水道メーターに関しては、現地の写真を表示することができます。
道路など目印となるものからの距離も示しているため、積雪によりメーターが埋もれてしまった場合でも、この写真をもとにピンポイントで掘って探し当てることができます。

「写」の表示がある箇所は写真が閲覧できる

写真のイメージ。ポールの1目盛りは20㎝

一部の機能のご紹介となりましたが、GISで台帳を管理する重要性と利点がおわかりいただけたでしょうか?

このような台帳は、一度構築した後は、毎年新たに行われた工事の図書をもとにデータを更新することで、情報を最新の状態に保つことができます。

きめ細やかなGISの構築が、未来を見据えたインフラの管理を担っているのです。