能登半島地震レポート〈3〉―仮社屋設置。そして再スタートへ―
地震発生から2週間が経過した1月15日。
利水社が所属するエオネックスグループにて災害対策会議が開かれ、能登営業所の仮社屋設置に向けた計画が具体的に進み始めました。
今回設置する仮社屋は2棟。
能登営業所の敷地内、駐車場として使用していたスペースに、いわゆるプレハブの2階建てユニットハウスを並べて建てていきます。
ハウスそのものは京都から手配することとなりました。
これに付随して会社としての機能を回復するためには、最低限、以下の設備が必要となります。
・発電機
・エアコン
・トイレ
・上下水道
・インターネット環境
・電話回線
発電機とエアコン、仮設トイレは仮社屋用にレンタル品を用意。
上下水道はまだ利用できないため、飲料水はペットボトルで賄います。
インターネット環境に関しては、光回線の復旧の見通しが立たないため、当面は携帯電話の回線を利用したWi-Fiを使用することになりました。
ちなみに携帯電話の電波状況は、事業者により時期は前後しますが、1月前半の時点で改善されています。
電話回線のほうは、この時点で復旧の目途は立っていませんでした。
ユニットハウスが到着するまでの間は、仮社屋への機能移転に向け、営業所内の片付けが粛々と進められました。
ゆくゆくは改修のための工事が入ることになるので、社屋をまさに “空にする勢い” の作業です。
1階の応接室と機材室は被害が少ない状態だったため、改修工事が始まるまでの間は仮設ハウスと併用で業務に使用することになりました。
一方で、地震直後より行われていた、穴水町の社員の自宅を拠点とした物資の持ち寄りは、1月20日頃まで続けられ、水・食料・燃料・衛生用品などが最終的に12家庭へ配布されました。
また、自宅が住める状態にない従業員に対しては、エオネックスグループで金沢市内に住居を確保し、金沢本社で業務に当たる手はずが整えられました。
能登営業所の社員7名が、当面のあいだ本社勤務となります。
そして迎えた1月26日、1棟目のユニットハウスが到着しました。
雪が降る中、クレーンによる組み立て作業が行われ、3時間半ほどで完成。
あっという間に何もなかった駐車場に事務所が出現しました。
もう1棟のハウスは、キッチン設備のためのユニットを待ち、3日遅れて到着。
こちらもみるみるうちに組み立てが進んでいきます。
2棟並んだハウスの脇には、25kVAの発電機2台も設置されました。
その翌日には、金沢本社やエオネックスからも人員が向かい、能登営業所の社屋からデスクやパソコン等を仮社屋へ搬入。
仮設トイレも男女1基ずつが置かれました。
1月31日にはエアコンの取り付けも完了し、ひととおりの設備の整った仮社屋の誕生です。
実際に営業に必要なものを調達するとなると、ひとつの設備を整えるにも、現況を調査し、手配・取り付けを行い、不具合があったら再調査し、調整または代替案を用意し…と膨大な手間がかかることがわかります。
インフラに何の不安もない日常のありがたさを実感せずにはいられない日々となりました。
2月1日、能登営業所は営業を再開しました。
未だ通信は安定せず、電話回線や上下水道も復旧していない状況ではありましたが、少しずつ環境を整えながら業務を進めていくことに。
能登半島地震が起こった日から、ちょうど1か月目の再スタートとなりました。
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3回に分けてお伝えしてきました能登半島地震レポートですが、ここで一区切りとさせていただきます。
2024年3月11日現在、能登営業所は上記の状況から電気、水道、電話・FAX、光回線が順次復旧し、細かな問題や依然調査中の不具合はあるものの、ほぼ通常の業務に差支えのない環境が整っています。
地震発生から現在に至るまで、多方面よりご心配や激励のお声を頂戴し、また復旧に関しても、これまでご縁のあった多数の企業様にお力添えをいただきましたこと、改めて従業員一同、心より御礼申し上げます。
今後、大きな進捗があった際は、再度こちらのコラムでご紹介させていただきます。