北陸新幹線 延伸開業!利水社が携わった測量・補償の業務とは?
2024年3月16日、北陸新幹線の金沢―敦賀間が延伸開業しました。
延伸区間は約125キロメートル。石川県には新たに小松、加賀温泉の2駅、福井県には芦原温泉、福井、越前たけふ、敦賀の4つの新幹線駅が誕生。ついに北陸3県全てに新幹線が通り、東京と乗り換えなしで結ばれることになりました。
言うまでもなく多くの関係者、官庁、自治体、そして企業が参画した一大プロジェクトですが、実は利水社もその中の1社として、建設に携わっています。
今回はそんな北陸新幹線延伸に関わる、当社が手掛けた業務についてご紹介したいと思います。
用地測量
新幹線の線路を敷設するためには、建設予定地となった土地を所有者から取得し、鉄道用地として登記する必要があります。その下準備と言える業務となります。
用地測量ではまず、土地の所有者を明らかにするため、土地登記簿をもとに権利調査を行います。続いて、土地と土地の正確な境界を、所有者とともに確認。それから土地の形状を計測する測量を行い、図面を作成するまでが一連の業務となります。
利水社では、
・能美市赤井町~中ノ江町
・小松市幸町一丁目~日の出町三丁目
・加賀市庄町~弓波町
・加賀市細坪町、熊坂町、奥谷町
・南越前町奥野々~敦賀市葉原
などの区間の用地測量を行いました。
建物調査
線路や鉄道関連施設の建設予定地に住宅などが建っている場合、移転していただくか、取得される土地に応じて一部を改築する必要が生じてきます。
そういった建物や、敷地内にある門や塀などの構造物、樹木等を細かく調査し、補償額の算定を行いました。
また、対象区域には店舗兼工場となっている物件や、駐車場、資材置き場として使用されている土地などもあったため、営業補償額の算定も実施。
小松市や敦賀市でこちらの業務を行っています。
財産整理
鉄道の建設に当たって取得した土地を、工事完了後、用途に応じてどこの所有にするのか整理する業務になります。
例えば、新幹線の高架下の土地や関連施設は鉄道・運輸機構(最終的にはJR)が管理し、その外側は県や市町が管理するとなった場合、所有者ごとに土地の登記をする手続きが必要になります。
また、鉄道を通すために、それまであった農道を迂回させたり、用水や河川の流れを変えたり、という工事が行われることもあります。その場合は、工事が終わった後で、農道や用水は市や町の管理に、河川(2級)なら県の管理に…、など所有者を明確にしていきます。
利水社が具体的に行ったのは、工事の際に必要な土地として定められた境界座標と、新たに測量を実施し設置した管理界(行政機関が管理する境界)を基に仮図面を作成。関係機関の立会いのもと、その境界で問題ないか確認してもらい、財産整理台帳や、財産の受渡しに必要な図面を作成していくという作業になります。
日陰調査
新幹線の高架により、日照時間が減ってしまった住宅に住む方を対象にした、補償額の算定の業務です。
まず、対象となる建物の測量と、窓の高さの測定を実施。窓の中心部に太陽光が差す時間を計算によって導き出します。
日陰となる時間が基準を上回っていた場合、余計に発生する暖房費や電気代、太陽光パネルの売電量の損失分などを算出し、補償額としていきます。
利水社では、白山市から小松市にかけての地域でこちらの業務に当たっています。
聞きなれない業務もあったかと思いますが、どれも安全で円滑な工事の進行と、今後の管理や周辺住民のみなさんの暮らしに関わる大切な仕事です。
新たに延伸開業した新幹線にご乗車した際は、そんな技術者たちの果てしない仕事に、ひととき思いを馳せてみてはいかがでしょうか。