GISによる台帳管理とは?―インフラをデジタル管理する―(前編)
はじめに:GISとは
GIS(地理情報システム)とは、Geographic Information Systemの略で、地球上における位置情報に様々なデータを重ねて可視化し、管理、検索、分析などを行うシステムのことです。
最も身近なものでは、GoogleマップもGISの一種。地図上でレストランを検索すると、お店までの経路や所要時間、レビューなどの情報を得ることができます。
他にも、これから述べるインフラの管理や、人口や既存店舗のデータをもとに出店計画を立てるといったエリアマーケティング、海流や水温のデータから魚が集まる漁場を可視化するといった分析などにも活用でき、GISは現代の社会になくてはならない情報基盤となっています。
利水社が手掛けるGIS業務
利水社が携わっているGISの業務には、主に以下のようなものがあります。
・台帳管理…市町にある道路施設や、上下水道施設などの情報を位置情報とともにデジタル化し、管理に役立てます。
・固定資産管理…土地や建物の位置や形状、登記情報などをGIS上に反映し、効率的な固定資産税の管理に活用します。
・統計調査…日本で5年ごとに実施されている農林業センサスなど。経営体や土地の用途・面積等の情報をGIS上に記録していきます。
・ハザードマップ…地理情報に災害予測や避難所の位置情報などを重ねて可視化します。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、本題であるGISによる台帳管理業務、今回は特に上水道の台帳管理についてご紹介したいと思います。
水道施設をGIS管理するまでの道のり
上水道台帳とは、市や町のなかで水道管がどこを通っているか、水道メーターや水栓などの施設がどこにあるのか、また、それらの設置時期などの詳細情報を網羅した資料のこと。
十数年前、当社が石川県内のある自治体の上水道台帳整備を手がけることになった当初、現地のGISデータは形としては存在していたものの長年更新されてなく、あるのは過去の工事情報などを記録した膨大な紙資料だったといいます。
担当となった技術者によると、最初の1年は折りたたみ自転車を車に積み込んで現地に通い、図面と実際の施設の位置が合っているか照らし合わせを行い(図面と位置がずれていることもしばしば)、次に再び1年をかけ、検針員のみなさんに地図を渡し、建物1軒1軒の水道メーターの位置を書き込んでもらうという作業を実施。
さらに、年度や日付がバラバラだった紙資料の整理に1年、資料のデータをGIS上に入力するのに1年、閲覧・管理がしやすいビューワツールの開発に1年…と、実に5年をかけ全ての情報をデジタル化したそう。
もちろん、自治体の規模や携わる人員の数によって期間は変わりますが、デジタル化の最初の一歩は、気の遠くなるようなアナログな作業の集積なのです。
さて、こうした努力の結果生まれた上水道管理システムですが、実際にどのような機能があり、どういった活用ができるのでしょうか?
次回はそんなGISを利用した台帳システムの具体的な機能についてご紹介したいと思います。